団体の基本的な考え方

 1.活動目的

 生物多様性保全上重要な里地里山「南部町の里地里山」を発展させて次世代に引き継ぐ

 2.活動範囲

 「南部町の里地里山」(鳥取県西伯郡南部町)

 3.活動の根拠

 生物多様性条約、生物多様性国家戦略、生物多様性地域戦略に基づいて活動を行います。法律と、鳥取県と南部町の条例に従って活動を行います。

 4.「南部町の里地里山」の特徴

 南部町は農林業が盛んであった為、農林業に必要なため池、用水路、田んぼといった水場や造林地を介して野生動植物と繋がって来ました。オオサンショウウオなどの希少な生物が生息すると同時に、有志による保全活動が行われてきました。南部町は全域が生物多様性保全上重要な里地里山に指定されています。

 5.団体が目指す「南部町の里地里山」の姿

 生態系サービスの恵みを大きくして町民の生活を豊かにする。人がいなくなって野生生物だけになった社会を是としない。

 6.特に力を入れて保全するところ

 ため池、用水路、田んぼ等の水場とそれに付随する林道と森林

 7.収益事業の重要性

 調査・保全活動を持続していく為には収入が必要です。保全には専門的な知識が必要です。専門的な業務に見合う収入を確保していくことが生物多様性を保全していくために必要です。

 8.保全を担う後継者

 鳥取県には鳥取環境大学があります。環境大学は保全に意欲的な若者をたくさん輩出しています。また、最近では県外に出るよりも地元で暮らしたいと考える若者が増えているように感じます。彼ら彼女らは後継者になりうる存在です。

 9.農家・林業家と連係する必要性

 農地の整備や、造林地の保全には農家・林業家の協力が不可欠です。保全活動には地権者である農家の理解が必要です。

 10.収益事業の内容

 農業の担い手が少なくなっているため、農産物の生産だけで保全に必要な収益を得ることが不可能です。観光や再生可能エネルギーといった新しい取り組みが必要です。

 11.収益事業としての観光

 近年、民泊や里山体験など観光への取組が盛んになっています。観光に取組むことは他の団体との相乗効果が期待されます。南部町は生産者としての気質が強く、不特定多数の人を町に受け入れる事に慣れてません。地元の理解を得るとともにサービスの質を高めていくことが必要です。取組を内外に示すことを目的に日本版DMO登録を目指します。

 12.先に活動をはじめた他の団体

 先に活動してきた団体の考えを尊重することが大切です。

 13.愛好家や業者による採集の問題

 植物のラン類や、動物のサンショウウオ類には愛好家が多く、生息地が公になると採集される危険性があります。愛好家の多い動植物はネットオークションなどで高値で取引される為に、業者による乱獲の懸念もあります。また悪戯に環境を荒らす人が出てくるかもしれません。

 14.人が生活する場所でもあるということ

 ため池の周辺は私有地であり、農地は農家が収入を得る為に働く場所です。働く場所に不特性多数の人が訪れることを快く思わない人もいます。知らない人が自宅にカメラを向けていたら不快に思うこともあります。車道に車を止めると他の車が通行できなくなります。私有地に許可なく車を止めてはいけません。人の生活する場所で活動することに注意が必要です。

 15.ゾーニング(領域わけ)の必要性

 保全が必要であると同時に人が生活する場所であることから、活動を行う為にはゾーニングが必要です。保全活動を行う場所、立ち入ってはいけない場所を分けていくことが必要です。

 16.町との協力

 町と連携していく事が必要です。ただ町に従うのではなく、何事もよく考えて主体的に行動していきます。

 17.環境省の取組への参加

 環境省の取組に積極的に参加します。「生物多様性地域連携促進法」に基づく保全活動を目指します。「環境で地方を元気にする地域循環共生圏づくりプラットフォーム事業」を目指します。

 18.社会的な責任

 団体として活動することには社会的な責任が伴います。法律や条令に従って行動することはもちろんとして、社会の常識に照らして正しい行動を行います。

 19.青年の育成

 活動を通じて社会に貢献する人材を育成します。

 20.野生生物によって不利益を被る人がいるということ

 オオサンショウウオの生息域では護岸工事の遅れるなど一部の住民にとって不利益となることが起こります。希少生物による恵みを分かち合う為には、不平等感を緩和する取組が必要です。

 21.動物が嫌いな人もいるということ

  動物が苦手な人もいます。苦手な人への配慮が必要です。

 22.護岸工事について

  人の命を守るための事業が優先です。

 23.活動中の感染症の危険性

 会員が活動中に感染症にかからないための取組を行います。会員には活動中に危険を感じたら直ちに身を守る行動をお願いします。

 24.活動中の危険防止

 マムシにかまれる、ため池への転落、機械操作中の事故、高所作業中の転落事故などの危険性があります。怪我の未然防止に取組みます。

 25.傷病鳥獣の保護について

 鳥取県では、人の生活環境の中で、交通事故など、自然界にはない人との関わりによって負傷し、自力で生息するのが難しく、保護を必要とする野生鳥獣を傷病鳥獣として保護の対象にしています。南部町における傷病鳥獣の保護は西部総合事務所が行っています。町民と西部総合事務所の橋渡しを行います。